システム開発に使える助成金・補助金のご紹介
システム開発に使える助成金・補助金のご紹介
1-1. DX導入が企業経営に不可欠な理由
近年、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、クラウド、5Gといったデジタル技術が急速に進化し、ビジネス環境が劇的に変化しています。
- 市場競争の激化 → 海外企業や大手企業との競争激化
- 消費者行動の変化 → オンライン取引やデジタルサービスの拡大
- 人手不足・高齢化 → 定型業務を自動化・効率化する必要性
日本政府は「2025年の崖」として、デジタル化の遅れによる企業の競争力低下を警告しています。この状況に対応するためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が不可欠です。
1-2. DX導入の重要性とメリット
DX(デジタルトランスフォーメーション)を導入することで、業務効率化・コスト削減・競争力強化・売上アップといった大きな効果が期待できます。
ここでは、具体的にどのような場面で効果が得られるのかを詳しく解説します。
①業務効率化
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIを活用して、受発注や在庫管理などの定型業務を自動化。
成功事例(製造業): RPA導入により受注処理時間が70%短縮、ヒューマンエラーが90%減少。
成功事例(自動車部品メーカー): AI活用により生産効率が30%向上、欠品率が40%削減。
②コスト削減
クラウド導入によりサーバー管理コストを削減し、自動化で人件費を削減。
成功事例( IT企業):AWSに移行し、年間コストが200万円削減。
成功事例(商社): 請求書作成をRPAで自動化し、作成時間を90%削減。
③競争力強化
AIで市場・顧客データを分析し、迅速な戦略策定やターゲットマーケティングを実現。
成功事例(EC企業): AI活用により購入率が25%アップ。
成功事例(飲食店): データ分析により売上が30%増加。
④売上アップ
ECサイト・CRMを導入して新規顧客獲得とリピーター増加。
成功事例(アパレルメーカー): EC導入により新規顧客が40%増加。
成功事例(食品メーカー):AIデータ分析で新商品売上が初年度20%アップ。
DX導入は企業の「成長エンジン」になる!
DX導入により、業務効率化・コスト削減・競争力強化・売上アップという4つのメリットが得られます。さらに、政府や自治体が提供する補助金・助成金を活用することで、コスト負担を軽減しながらDXを推進することが可能です。今こそ、DX導入に踏み切る絶好のタイミングです!!!
2. DX導入に活用できる主な補助金・助成金
DX導入には高額なコストがかかりますが、補助金や助成金を活用すればコスト負担を大幅に削減できます。ここでは、DX導入に活用できる主な補助金・助成金を紹介します。
2-1. IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツール(ソフトウェアやサービスなど)を導入し、生産性向上や業務効率化を図る際の経費の一部を補助する制度です。
申請条件
申請対象者は、日本国内で事業を営む中小企業・小規模事業者等です。業種や組織形態により、資本金や従業員数の基準が異なります。例えば、製造業や建設業、運輸業の場合、資本金3億円以下または従業員数300人以下が対象となります。
対象経費
- ソフトウェア費用: 業務プロセスに対応するソフトウェアの購入費やクラウド利用料(最大2年分)
- オプション費用: 機能拡張やデータ連携ツール、セキュリティ関連のオプション
- 役務費用: 導入コンサルティング、設定、マニュアル作成、研修、保守サポートなど
導入するITツールは、事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものが対象となります。
助成額・助成率、申請枠や導入するITツールの内容により、補助額や補助率が異なります。
通常枠
- 補助額: 5万円以上450万円以下
- 補助率: 1/2以内、または特定の条件を満たす場合は2/3以内
- 要件: 1プロセス以上のソフトウェア導入で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下
インボイス枠(インボイス対応類型)
- 補助額: 上限350万円(下限なし)
- 補助率: 補助額50万円以下の部分は中小企業で3/4以内、小規模事業者で4/5以内、50万円超の部分は2/3以内
インボイス枠(電子取引類型)
- 補助額: 上限350万円(下限なし)
- 補助率: 中小企業・小規模事業者等が申請する場合は2/3以内、その他の事業者(大企業等)が申請する場合は1/2以内
セキュリティ対策推進枠
- 補助額: 5万円以上100万円以下
- 補助率: 1/2以内
- 対象: 「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスの導入
詳細な情報や最新の公募要領については、IT導入補助金の公式サイトをご確認ください。
参照:https://it-shien.smrj.go.jp/
2-2. ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が新製品・新サービスの開発や生産性向上のための設備投資を支援するための補助金制度です。
申請条件
- 対象者: 製造業、建設業、運輸業、旅行業では資本金3億円以下かつ常勤従業員数300人以下、卸売業では資本金1億円以下かつ常勤従業員数100人以下など、業種ごとに定められた基準を満たす中小企業・小規模事業者が対象となります。
- 事業計画: 3~5年の事業計画を策定し、以下の要件を満たす必要があります。
- 付加価値額の年平均成長率が3.0%以上増加すること。
- 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県の最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または給与支給総額の年平均成長率が2.0%以上増加すること。
- 事業所内最低賃金が、事業実施都道府県の最低賃金より30円以上高い水準であること。
- 従業員21名以上の場合、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表すること。
対象経費
- 機械装置・システム構築費(必須)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 海外市場開拓に関する事業の場合、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費も対象となります。
助成額・助成率
- 補助上限額: 申請枠や従業員数により異なり、750万円~2,500万円(製品・サービス高付加価値化枠)、最大3,000万円(グローバル枠)などが設定されています。
- 補助率: 通常、中小企業は1/2、小規模事業者や再生事業者は2/3となります。ただし、特定の条件を満たす場合や申請枠によって異なる場合があります。
詳細な情報や最新の公募要領については、ものづくり補助金の公式サイトをご確認ください。
参照:https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html
2-3. 人材開発支援助成金
事業展開等リスキリング支援コースは、企業が事業の再構築や新規事業展開に必要となる人材のスキルアップを支援するために設けられた「人材開発支援助成金」の一つのコースです。
このコースでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)やグリーン成長といった社会的な変化に対応するためのスキル習得や、業務プロセスの変革に必要な訓練を支援します。企業の事業転換や新規事業の立ち上げに必要な人材確保や育成が目的となっています。
対象経費
〈事業内訓練の場合〉
部外講師への謝金・手当、部外講師の旅費、施設・設備の借上費、学科や実技の訓練等を行う場合に必要な教科書・教材の購入費、訓練コースの開発費
〈事業外訓練の場合〉
助成額・助成率 (※( )内は中小企業以外の助成額・助成率)
経費助成 | 賃金助成(1人1時間当たり) |
---|---|
75%(60%) | 960円(480円) |
支給限度額
①経費助成限度額(1人1訓練当たり)
定額制サービスによる訓練以外の場合、1人1訓練当たりのOFF-JTにかかる経費助成の限度額は、 実訓練時間数に応じて下表のとおりです。 定額制サービスによる訓練の場合は、1人1月あたり2万円です。
企業規模 | 100時間以上100時間未満 | 100時間以上200時間以上 | 200時間未満 |
---|---|---|---|
中小企業事業主 | 30万円 | 40万円 | 50万円 |
中小企業以外の事業主 | 20万円 | 25万円 | 30万円 |
② 賃金助成限度額(1人1訓練当たり)
1,200時間が限度時間となります。ただし、専門実践教育訓練については1,600時間が限度時間となります。
③ 支給に関する制限
・訓練等受講回数の制限
助成対象となる訓練等の受講回数の上限は、1労働者につき1年度で3回までです。
・1事業所の支給額の制限
1事業所が1年度※に受給できる助成額は1億円となります。
詳細な情報や最新の公募要領については、人材開発支援助成金の公式サイトをご確認ください。
参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
3.DX導入の成功事例
① IT導入補助金
A社(製造業)
課題
- 受発注管理をFAXと手書き伝票で行っており、人的ミスや受注処理の遅れが発生していた。
- 在庫管理が手作業だったため、欠品や過剰在庫が頻繁に発生。
- 受注から出荷までに2〜3日かかり、顧客から納期遅延のクレームが発生していた。
導入内容
IT導入補助金を活用して受注・在庫管理の一元化システムを導入
AIを活用した在庫予測システムを導入
受注システムをクラウド化し、社内外でリアルタイムにデータを共有可能に
結果
受注処理時間が70%短縮
納期遵守率が92%から99%に改善
人件費が30%削減
ヒューマンエラーが80%減少
ポイント
- 受注・在庫・生産を一元管理することで、無駄な作業がなくなりスムーズな業務体制を構築。
- 補助金を活用することで、導入コストの約3分の2をカバー。
② ものづくり補助金
B社(自動車部品製造)
課題
- 生産ラインの作業が手作業中心で、生産効率が低下。
- 作業員の高齢化により、技能伝承が困難になっていた。
- 製品検品も手作業のため、不良品率が高止まりしていた。
導入内容
ものづくり補助金を活用して製造ラインの自動化を導入
ロボットアームによる部品組立とAI検品システムを導入
生産管理システムを導入し、リアルタイムで生産工程を最適化
結果
生産効率が35%アップ
不良品率が7%から1.5%に改善
労働時間が月20時間削減
AI検品導入により人的ミスがゼロに
ポイント
- AIとロボットを組み合わせることで、省力化と生産性向上を同時に実現。
- ものづくり補助金により、導入費用の約2/3(約800万円)をカバー。
③ 人材開発支援助成金
C社(商社)
課題
- IT人材が不足しており、DX推進に必要なスキルを持つ社員がいなかった。
- 社内の業務プロセスが属人化しており、業務標準化が困難。
- DX推進プロジェクトが進行しない状態が続いていた。
導入内容
人材開発支援助成金を活用して社員向けAI・データ分析研修を実施
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)操作研修を実施
DX専門人材を外部から採用し、社内トレーニングを実施
結果
社員のITスキルが50%向上
業務プロセスの効率化により、工数が30%削減
新規サービス開発スピードが20%アップ
年間の売上が15%増加
ポイント
- DXスキルを社内に内製化することで、外注費を削減。
- 助成金を活用することで、社員教育コストの**最大75%**をカバー。
4.補助金・助成金の申請方法と注意点
IT導入補助金の申請の流れ
1. gBizID(法人用アカウント)の取得
2. IT導入支援事業者との相談
3. オンライン申請
4. 審査・採択
5. 補助金の受給
IT導入補助金の申請時の注意点
- 必ずIT導入支援事業者を通じて申請する必要がある
- 申請後の実施報告(ツールの導入・活用状況の報告)が必要
- 同じ補助金に複数回申請はできない
ものづくり補助金の申請の流れ
- gBizID(法人用アカウント)の取得
- 補助金申請書類の準備
- オンライン申請
- 審査・採択
- 補助金の受給
ものづくり補助金の申請時の注意点
- 既存事業の維持や単なる設備更新は対象外
- 事業計画に革新性と具体性を持たせる
- 採択後の実施報告が必須
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の申請の流れ
- 職業能力開発推進者の選任
- 訓練計画の作成および提出
- 訓練の実施
- 支給申請
- 審査・助成金の受給
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の申請時の注意点
- 事業成長やスキル強化に直接関連する内容であること
- 訓練内容やスケジュールに変更が生じた場合は、速やかに変更届を提出する必要がある
- 訓練の実施状況や参加者の出席状況など、必要な記録を適切に保持しておく必要がある
5.補助金を活用してDX導入を成功させるポイント
①DX導入の目的を明確にする
補助金を活用してDX導入を進める際には、まず「なぜDXを導入するのか」を明確にすることが重要です。
目的設定のポイント
- 業務効率化
- コスト削減
- 売上アップ
- 競争力強化
- 新たなビジネスモデルの構築
(例)
「AIを活用した需要予測システムを導入し、在庫管理を最適化してコスト削減を図る」
「CRMシステムを導入して、顧客データを一元管理し、マーケティング効果を高める」
補助金の申請時には、「導入目的」が具体的であるほど採択率が上がります。
②企業規模や導入内容に合った補助金を選定する
補助金には、それぞれ対象となる企業規模や導入内容に応じた条件があります。
主な補助金・助成金の選び方
(例)
- ITツールの導入 → → → IT導入補助金
- 製造ラインの自動化 → → → ものづくり補助金
- 社員教育・リスキリング → → → 人材開発支援助成金
③事業計画をしっかりと作成する
補助金を活用するためには、事業計画をしっかりと作成し、具体的な数値目標や成果を明示することが重要です。
導入目的 → DX導入により、何を達成するのかを明確にする
現状の課題 → 受発注の手間・人的ミス・在庫管理の不備など
導入後の効果 → 業務効率・売上増加率・人的ミス削減率などを数値化
スケジュール → いつから導入し、いつまでに効果を出すかを明示
投資回収の見込み → 導入費用に対してどの程度の利益を見込めるか
【良い例】
受注管理システム導入によって「受注処理時間を50%短縮」「人的ミスを30%削減」する
【悪い例】
「業務を効率化して売上アップを目指す」 → 効果や目標が具体的でない
④申請書類を正確かつ丁寧に作成する
補助金の採択率を上げるためには、申請書類の正確性や内容の明確さが重要です。
申請書類作成時の注意点
書類の記載内容に漏れがないか確認
事業計画が「補助金の趣旨」に合致しているか確認
定量的な目標(%や数値)を明確に記載
⑤導入後の効果をしっかりと報告する
補助金や助成金を受給した後には、導入したDX施策の効果や成果を報告する義務があります。
報告内容のポイント
導入効果 → 受注件数、売上、業務処理時間、コスト削減率など
課題 → 導入したものがうまく機能していない場合の対応策
今後の計画 → DX導入後の改善・展開計画
⑥導入後のアフターサポート・改善を重視する
DX導入後は、「導入して終わり」ではなく、定期的に効果測定を行い、システムや運用フローの最適化を図ることが重要です。
具体例
- 導入したシステムの使用状況をチェック
- 社員からのフィードバックを収集
- 効果が薄い部分は改善策を検討
⑦専門家・コンサルタントのサポートを受ける
DX導入に関する知識やノウハウが社内にない場合は、専門家やコンサルタントに相談することで成功率が向上します。
専門家に相談するメリット
・採択されやすい事業計画の作成
・補助金の最新情報や採択ポイントを把握
・申請書類の作成サポート
6.まとめ
DX導入は、単なるデジタル化ではなく、持続可能な成長と競争力強化を実現するための重要な施策です。2025年最新の補助金・助成金を上手に活用することで、初期コストの負担を軽減しながら、業務効率化や顧客満足度の向上を目指せます。今回紹介した取り組み方や企業事例を参考に、ぜひ自社のDX戦略を具体化し、次の成長ステージへと進んでいきましょう。
補助金・助成金 | 対象企業 | 対象内容 | 補助率 | 補助額 |
---|---|---|---|---|
IT導入補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 業務効率化や売上アップにつながるITツール導入 | 通常枠:1/2、2/3 インボイス枠:2/3 (申請枠により異なる) |
5万円~450万円 |
ものづくり補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 新製品開発・新技術開発・生産性向上 | 1/2(中小企業) 2/3(小規模事業者または要件を満たす事業者) |
750万円~2000万円 ※要件によって上限額引き上げ有 |
人材開発支援助成金 | 中小企業・大企業 | DX推進や付加価値向上を狙ったスキル教育 | 60%(中小企業) 45%(大企業) |
最大1億円 |