SaaSを導入したのに使われない。廃品回収会社の業務整理・運用設計を支援した事例

廃品回収会社の事務所と配車管理をイメージした写真調画像

「SaaSを契約したものの、現場での利用が進まない」「Excelで管理している情報を、どこまで移せばよいか分からない」。ツールを導入しても、日々の仕事に合う使い方が整理されていなければ、従来の管理方法から切り替えるのは簡単ではありません。

今回は、廃品回収事業を展開する企業に対し、株式会社Ouverが業務の可視化、SaaSと業務の適合性評価、運用設計、導入に向けた調整を支援した事例をご紹介します。新しいシステムの開発を前提にせず、お客様の投資方針と現場の業務に合わせて、既存SaaSを活用する方法を整理しました。

プロジェクト概要

  • 業種:廃品回収・物流関連業
  • 支援内容:DXコンサルティング、業務分析、業務フロー設計、SaaS導入支援
  • 対象業務:案件管理、人員管理、部署別原価管理、売上管理、配車管理、業務進捗管理

1.担当者ごとのExcel管理で、全体の状況が見えない

同社では、複数の部署が人員を融通しながら案件に対応していました。一方、案件情報や人員配置、進捗状況などは、約6名の事務担当者がそれぞれローカルのExcelファイルで管理しており、情報が担当者ごとに分散していました。

そのため、部署をまたいだ情報共有や、全社的な業務状況の把握が難しくなっていました。担当者が不在になると、ほかの社員が必要な情報を確認しづらく、引き継ぎや代替対応にも不安が残る状態でした。

特に課題となっていたのが、部署別の売上・原価と、人員・車両の稼働状況です。部署間で応援に入る人員の費用などを把握しにくく、収益性や貢献度を判断するための情報が十分ではありませんでした。これは、賞与や昇給を検討する際の判断材料にも関わる課題でした。

配車状況も一元的に把握できず、新規の電話問い合わせを受けても、その場で対応可能か判断することが難しくなっていました。情報が存在していても、必要なときに確認できなければ、日々の判断には活かしにくくなります。

案件、人員・配車、売上・原価、進捗の情報が担当者ごとに分散している概念図
導入前の情報管理上の課題を示す概念図です。(イメージ図)

2.SaaSを契約しても、現場の運用が決まらない

同社は以前にも業務システムの構築に取り組んでいましたが、業務要件や運用方法の整理が十分ではなく、期待した形での利用につながりませんでした。その経験から、追加の開発投資には慎重になり、比較的低コストで導入できるSaaSの活用を検討されていました。

しかし、SaaSの導入を進めるなかで、別の課題が生まれていました。既存業務と標準機能がどこまで合うのか、管理しきれない情報をどう補うのか、社員が日々どのように利用するのかが整理されていなかったのです。

導入の目的や新しい業務の進め方も十分に共有されず、利用が進まないままライセンス費用が発生していました。そこでOuverに、業務整理と運用設計、導入に向けた支援をご相談いただきました。

3.まず「誰が、何のために管理しているか」を整理

Ouverは、現状の業務フローと情報管理の方法を把握することから支援を始めました。

案件、人員、売上・原価、配車、進捗といった対象業務について、どのような情報を、誰が管理し、どの場面で利用しているのかをヒアリングして整理しました。

このとき、既存のExcelにある項目をすべて移すことは前提にしていません。業務上必ず必要な情報と、見直しや省略を検討できる情報を分け、管理する目的を確認しました。

入力項目を引き継ぐだけでは、従来の複雑な運用もそのまま残ってしまう可能性があります。必要な情報を保ちつつ、今後どのように管理すればよいかを検討するための土台を整えました。

4.SaaSに合わせる部分と、別の方法で補う部分を分ける

続いて、導入するSaaSの標準機能と、整理した業務要件を照らし合わせました。SaaSには入力項目や管理方法などの制約があるため、既存の仕事の進め方をすべてそのまま再現できるとは限りません。

そこで、次の観点から導入方法を整理しました。

  • 標準機能で対応できる業務は何か
  • 業務の進め方を変更することで対応できる部分はどこか
  • 業務上必要だが、別の管理方法で補完すべき情報は何か

重視したのは、入力できるかどうかだけでなく、業務に必要な情報を維持しながら運用できるかという点です。標準項目に収まらない情報も、必要性を確認したうえで、扱い方をお客様と協議しました。

SaaSにすべてを無理に詰め込むのでも、従来の管理をそのまま残すのでもなく、現場で運用できる組み合わせを検討しました。

SaaSの標準機能で管理する部分、業務を見直す部分、別の方法で補完する部分の整理
SaaSと業務の適合性を検討する考え方の概念図です。(イメージ図)

5.導入後の仕事の進め方まで、伴走して設計

業務分析と適合性評価をもとに、どの情報をSaaSで管理し、どの情報を別の方法で補完するかを整理しました。あわせて、Excel中心の管理から移行する際の業務の流れや、情報の取り扱いを検討しました。

SaaSの仕様と現場の要件に差がある部分は、お客様と確認を重ね、業務の進め方の変更や補完方法を提案しました。システムの設定だけでなく、現場で日々使える運用に落とし込むための社内調整・導入支援を行った点が、本案件の特徴です。

業務可視化、適合性確認、運用設計、社内調整・導入支援の流れ
本事例の支援内容を整理した概念図です。(イメージ図)

6.今回整備した内容と、今後目指す改善

今回整理した情報・業務フロー・運用方針と、今後目指す改善を分けた図
整理・設計した内容と、目指す効果を区別しています。(イメージ図)

本プロジェクトでは、次の内容を整理・設計しました。

  • 業務に必要な情報と、現在の管理方法
  • 担当者や部署をまたぐ業務の流れ
  • SaaSの標準機能で対応できる範囲と、補完が必要な範囲
  • 現場の業務に合わせた運用方針

これらは、情報共有や業務標準化を進めるための土台です。その先の効果として、担当者不在時の対応、部署別の売上・原価の把握、人員・車両配置の見直し、問い合わせへの迅速な回答につなげることを目指しました。

7.新規開発だけでなく、既存ツールを活かす選択も

今回の支援では、お客様の課題と投資方針を踏まえ、既存SaaSを活用するための業務設計と導入支援を行いました。業務の可視化から適合性の確認、運用方法の検討、社内調整までを一緒に進めた事例です。

「ツールは導入したが、現場で使われていない」「Excelから移行したいが、業務をどう整理すればよいか分からない」といった場合は、機能を増やす前に、必要な情報と仕事の流れを整理することが一つの出発点になります。

Ouverでは、業務の現状把握や課題整理から、既存ツールの活用、必要に応じたシステム開発までご相談いただけます。まずは現在の業務と、困っている場面をお聞かせください。

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