受注履歴100件の表示が約10分から約30秒に|九州の卸・メーカー・EC販売企業のシステム保守引き継ぎ事例

九州企業のシステム保守引き継ぎ事例。受注履歴100件の表示時間が約10分から約30秒へ改善。
ジャンル保守運用

こんにちは。株式会社Ouver代表の市原辰規です。

長年使ってきたシステムでも、商品数や蓄積データが増え、業務の進め方が変わると、使いにくさが目立つようになることがあります。

今回は、九州に拠点を置き、海外から商品の仕入れや卸売、EC販売を行う企業の在庫・売上管理システムを引き継いだ事例をご紹介します。

対象の受注履歴画面では、100件の表示に約10分かかっていた状態から、約30秒で表示できる状態へ改善しました。また、Excelで補っていた業務のシステム化も検討し、費用対効果を踏まえて対応する範囲を決めました。

対応はオンラインを中心に進めながら、必要に応じて現地訪問も行いました。

※表示時間は、同じ受注履歴100件の画面で改善前後を比較した実測値(約10分→約30秒)です。システム全体の処理速度や、他の環境での効果を示すものではありません。

案件概要

  • 業種:卸売・メーカー・EC販売
  • 地域:九州
  • システム利用人数:約25人
  • 対象業務:在庫管理・売上管理・受注履歴の確認
  • 既存システム:構築から約15年が経過したC#のシステム
  • 対応期間:保守引き継ぎに約2か月、その後の改善に約6か月。開始から改善完了まで合計約8か月
  • 担当範囲:既存システムの調査、保守引き継ぎ、業務分析、改善に向けた要件整理、性能改善、バージョンアップ・セキュリティ対応
  • 対応方法:オンライン中心。状況に応じて現地訪問
  • 成果:同じ受注履歴100件の画面表示が、実測で約10分から約30秒に短縮

※本事例の期間・成果は、Ouverが担当した保守引き継ぎと改善についてのものです。

1. 約15年前のシステムと、現在の業務とのずれ

ご相談いただいたのは、九州に拠点を置き、海外から商品を仕入れ、卸売と自社EC・外部ECモールでの販売を行う企業です。自社ブランドの商品も扱い、倉庫で在庫を管理していました。

在庫管理や売上管理には、約15年前に構築されたシステムを利用していました。しかし、構築当時と比べて商品数が大きく増え、長年の取引データも蓄積していました。

円安や為替の変動により、仕入れ時の金額と販売時の金額を踏まえた数字の管理にも難しさを感じていました。

さらに、業務の進め方も変わり、既存システムで対応しきれない作業をExcelで補う場面が増えていました。システムとExcelを併用し、二重に管理する業務が発生していたのです。

2. 受注履歴100件を見るだけで、約10分の待ち時間

業務とのずれに加えて、動作の遅さも大きな課題でした。

システムを構成するソフトウェアやデータベースの更新対応が十分に進んでおらず、障害や表示の遅延、外部連携で利用するAPIへの対応にも課題が出ていました。

特に、受注履歴を確認する画面では、100件を表示するだけで約10分かかっていました。必要な情報を確認するたびに、長い待ち時間が発生していた状態です。

そこで、保守の引き継ぎとともに、パフォーマンス改善、バージョンアップ、セキュリティ面の対応を進めたいというご相談をいただきました。

3. 古い資料だけに頼らず、ソースコードと現場を確認

まず、ソースコードと残っているドキュメントをご提供いただき、使用言語やバージョン、稼働しているサーバーなどを調査しました。

ドキュメントは約10年前からほとんど更新されておらず、現在の仕様を資料だけで把握することは難しい状態でした。

そこで、AIも調査の補助に活用しながら、ソースコードや稼働環境を確認しました。調査の結果、C#で開発されたシステムであることが分かり、C#に対応できる社内のエンジニアが保守を担当することになりました。

ただし、プログラムを読むだけでは、実際の業務の進め方までは分かりません。

対応はオンラインを中心に進めながら、状況に応じて現地にも訪問しました。お客様の担当者や、実際にシステムを利用する社員の方々に話を伺い、画面の使い方だけでなく、現場の業務の流れも確認しました。

  • どの業務で、どの画面を使っているのか
  • システムで対応できている作業は何か
  • Excelで補っている作業はどこか
  • 現在の運用で困っていることは何か
ソースコード調査、オンラインでの確認、必要に応じた現地訪問を組み合わせ、業務と仕様を把握。
AIを調査の補助に使いながら、担当者や現場の社員への確認も行いました。(イメージ)

途中でお客様側の担当者が退職することもありましたが、ソースコード、残された資料、現場での確認を組み合わせて、仕様と業務を把握していきました。

4. Excel業務のシステム化も検討し、費用対効果で判断

保守を引き継ぐ中で、Excelとの二重管理を減らすことも検討しました。

まずは既存システムを保守しながら、システムが担っている範囲と、Excelで補っている範囲を整理しました。

次に、Excelで行っている作業をシステムに組み込む場合、どのような機能が必要になるか、運用方法をどう変えるかを要件定義で具体化しました。

必要な開発工数と費用を算出し、期待できる効果と比較したところ、Excel部分をすべてシステム化するには大きな費用がかかることが分かりました。

そのため、今回は全面的なシステム化を見送り、既存システムのパフォーマンス改善、バージョンアップ、セキュリティ面の対応を優先しました。

業務整理と必要機能・費用の検討を経て、既存システムの改善を優先。Excel業務の全面システム化は見送り。
すべてを作り替えるのではなく、今回取り組む範囲をお客様と整理しました。(イメージ)

業務を整理して見積もることは、開発を進めるためだけの作業ではありません。「今はどこまで対応するか」を判断するためにも役立ちます。

5. データの読み込み方を見直して、待ち時間を短縮

表示速度の改善では、受注履歴などのデータを読み込む処理を見直しました。

従来は、表示のたびにデータを読み直す処理があり、それが待ち時間の一因になっていました。

そこで、取得済みのデータを再利用し、新しく増えた情報を追加で取り込むなど、毎回読み直す処理の負担を減らす工夫を行いました。

その結果、受注履歴100件の表示に約10分かかっていた対象画面が、約30秒で表示できるようになりました。

毎回読み直していたデータ処理を、取得済みデータの活用と新しい情報の追加取得へ見直したイメージ。
処理の考え方を示す概念図です。表示時間は、同じ受注履歴100件の画面で比較した実測値です。

あわせて、バージョンアップやセキュリティ面の対応も実施しました。

今回の対応では、Excel業務のシステム化はいったん見送りましたが、既存システムを使ううえで負担になっていた待ち時間を減らすことができました。

6. 業務を継続しながら、保守を引き継ぐ

今回の案件では、資料が古いことや、担当者の退職など、引き継ぎを難しくする事情がありました。

それでも、技術面の調査と現場へのヒアリングを重ねることで、実際の仕様と業務を把握し、現場の業務に影響を与えず保守を引き継ぐことができました。現在も、システムの稼働を支えています。

九州企業の支援で、オンラインを中心とした確認と必要に応じた現地訪問を組み合わせる様子。
オンラインでの対応を中心に、状況に応じて現地を訪問しました。(イメージ)

長年使っているシステムについて、すぐに全面的な作り直しを決める必要はありません。

まず現状を把握し、既存の仕組みを活かせる部分と、改修が必要な部分を整理する。そのうえで、費用と効果を踏まえて優先順位を決めることが大切だと考えています。

古いシステムの保守・改善でお困りの方へ

  • 受注履歴や在庫情報の表示に時間がかかる
  • バージョンアップや保守対応が進んでいない
  • 仕様書が古く、現在の仕組みが分からない
  • システムとExcelの二重管理が増えている

Ouverでは、ソースコードや稼働環境の調査に加えて、実際の業務も確認しながら、保守の引き継ぎや改善の進め方を整理します。

地方企業のシステム保守・改善のご相談にも対応しています。オンラインでの打ち合わせや調査を中心に、必要に応じて現地訪問も組み合わせ、業務の実態を把握しながら支援します。

まずは、現在困っていることをお聞かせください。

株式会社Ouver 代表取締役 市原辰規

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