開発会社と連絡が取れなくなったら?システムを守るために最初に確認したいこと

開発会社と連絡が取れず困っている担当者と、状況整理を支援するエンジニア。
ジャンル保守運用

この記事でわかること

  • 連絡が取れないとき、優先して確認したいこと
  • 自社でわかる範囲と、新しい保守会社に頼る範囲
  • 契約やシステムの情報を整理するときの注意点
  • 引き継ぎの相談を始めるタイミング

「メールを送っても、返事がこない」
「電話もつながらない」
「サーバーの更新が近いのに、誰に確認すればいいかわからない」

システムは動いている。でも、頼りにしていた開発会社と連絡が取れない。
止まったときに対応できる人がいないと思うと、不安になりますよね。

こうしたとき、担当者だけでシステムの中身を調べ、引き継ぎ資料をそろえる必要はありません。

まずは業務への影響と、期限が迫っているものを確認し、技術的な整理は新しい保守会社と一緒に進める。私は、この進め方が大切だと考えています。

株式会社Ouver代表の市原辰規(いちはら たつき)です。
受託開発会社でエンジニアと営業を経験し、2億円規模の開発案件では受注からリリース、保守までを担当しました。

今回は、開発会社と連絡が取れなくなったときの初動についてお伝えします。

まず確認したいのは、今の業務と近い期限

最初に押さえたいのは、「今、何が使えていて、何に影響が出ているか」です。

  • システムは普段どおり使えるか
  • 受注、出荷、請求など、止まると困る業務は何か
  • サーバーやドメインなどの更新・支払期限が近くないか
  • 障害が起きた場合、一時的に別の方法で業務を続けられるか

すでに止まっている場合は、発生した時刻、表示されたエラー、困っている操作を記録してください。画面のスクリーンショットも手がかりになります。

ただし、取引先の個人情報などが写っている場合は、共有する相手や範囲に注意しましょう。

更新期限や契約先がわからなければ、経理担当者が持っている請求書や、過去の更新メールから確認できることもあります。

それでも不明なら、「不明」のまま相談して大丈夫です。

障害や更新期限が迫っているときは、前の会社への連絡と、新しい相談先の確保を並行して進めます。すべて調べ終わるまで、相談を待つ必要はありません。

まず確認する項目は、システムが今使えるか、止まると困る業務、更新・支払期限の3点。不明な項目は相談しながら整理する。

担当者だけでなく、会社の別の窓口も確認する

返事がない理由が、担当者の休暇や異動、退職に伴う引き継ぎ漏れという可能性もあります。

すぐに会社全体が対応できないと決めつけず、契約書や公式サイトに記載された別の連絡先も確認しましょう。

  • 担当者以外の連絡先
  • 代表電話やサポート窓口
  • 公式サイトの問い合わせフォーム
  • 会社から届いている休業や窓口変更のお知らせ

連絡するときは、「何に困っているか」「いつまでに確認が必要か」を具体的に伝えると、緊急度が伝わりやすくなります。

たとえば、サーバー更新が迫っているなら、「○月○日が更新期限のため、契約先と更新状況を確認したい」と伝えます。

送った日時・宛先・内容、電話で話したことは残しておきましょう。別の会社や専門家に相談するときにも役立ちます。

会社の営業状況は、公式なお知らせなどで確認します。サイトが消えた、電話がつながらない、ということだけで倒産したとは判断できません。

破産手続が始まり、破産管財人が選任されている場合は、その管財人が相談窓口になることがあります。実際の窓口は、届いた通知などで確認してください。

参考:裁判所「破産・再生」

別の窓口への連絡と、新しい保守会社への相談を並行して進める。全部調べ終わるまで待つ必要はない。

情報整理は、新しい保守会社と一緒に進める

「ソースコード、サーバー、ドメイン、データベースを一覧にしてください」

そう言われても、専門の担当者がいない会社では難しいと思います。

相談する前に、全部そろえる必要はありません。

自社でわかることを伝え、足りない情報の洗い出しや、前の会社への確認事項づくりを、新しい保守会社に手伝ってもらいましょう。

自社から伝えたいこと

  • 何の業務で使っているシステムか
  • いつから、誰と連絡が取れないのか
  • 今困っていることと、止まると困る業務
  • 手元にある契約書、請求書、資料の有無
  • わかっている更新期限や予算の制約

「サーバーはわからないが、毎月この会社に支払っている」という情報でも、調査の入口になります。

社内の担当者には、技術の説明よりも、実際の使い方や業務への影響を教えてもらえると助かります。

新しい保守会社に支援してもらいたいこと

  • 必要な資料やアカウントの洗い出し
  • 契約先、管理者、アクセス権限の整理
  • 前の会社やサービス提供会社への質問の整理
  • 許可された範囲でのシステム調査
  • 緊急対応と、引き継ぎに必要な準備の切り分け

調べる対象には、ソースコード、サーバー、ドメイン、データベース、決済やメール配信などの外部サービスがあります。何が使われているか不明な場合も、その確認から支援してもらいます。

そのうえで、「すぐ対応できること」「追加の情報が必要なこと」「今は判断できないこと」を分けてもらいます。

ここで大切なのは、調査の範囲と費用を、作業前に確認することです。

最初の相談だけで引き継ぎの可否や総額が決まるとは限りません。調査の見積もりと、その後の保守・改修の見積もりを分ける進め方もあります。

自社は業務の状況、困っていること、手元の資料を伝え、新しい保守会社は情報整理、質問づくり、技術調査を支援する。両者で優先順位を決める。

契約者、アクセスできる人、利用できる権利を分けて確認する

システムを引き継ぐときは、次の3つを混同しないことが大切です。

① 誰が契約しているか

サーバーやドメインが、自社名義なのか、開発会社名義なのか。支払いや更新を誰が行っているかも確認します。

② 誰がアクセスできるか

契約が自社名義でも、管理画面に入れる人が前の担当者だけ、という場合があります。権限と連絡先の状況を整理します。

③ どこまで利用・改修できるか

ソースコードを持っていることと、第三者に渡して改修してもらえることは、別の確認事項です。

開発費を払っただけで、著作権が当然に自社へ移るとは限りません。一方、著作権を持っていなくても、契約で利用や改修が認められている場合があります。

著作権の帰属だけでなく、利用許諾、資料の引き渡し、第三者への開示、守秘義務なども確認しましょう。

この整理は、新しい保守会社と進められます。ただし、権利の解釈や契約解除、損害賠償などの法的な判断が必要な場合は、弁護士に相談してください。

参考:文化庁「文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問」

契約者、アクセス権限、利用・改修の権利を別々に確認する。ソースコードを持っていても自由に改修できるとは限らない。

焦って変更する前に、守れる状態をつくる

連絡が取れないからといって、手元にあるログイン情報で、わからないまま設定を変えるのは避けたいところです。

パスワードやDNSの変更が、ほかの連携やメールに影響することもあります。

参考:JPRS「JPドメイン名の活用について」

新しい保守会社が調査するときも、アクセスの許可と範囲を確認し、まずはシステムを変更しない確認から進めます。

本番に影響する作業の前には、バックアップや復元方法、問題が起きたときの戻し方を確認します。

前の会社の名義のアカウントを、無断で使い続けたり、勝手にパスワードを変更したりする前提にはしません。

契約者や権限を確認し、必要ならサービス提供会社の正式な手続きに沿って、アクセス回復や移管を相談します。

また、急いで「全部作り直す」「今の契約をすぐ解約する」と決める必要もありません。

今の仕組みを引き継げるのか、当面の業務をどう支えるのか、契約上どの手続きが必要かを整理してから判断しましょう。

許可と範囲の確認、変更しない調査、バックアップと戻し方の確認を行い、必要な対応へ進む。本番に影響する作業の前に備えを確かめる。

相談先を選ぶときは、最初の説明を見てみる

こうした状況では、「すぐに何とかします」と言ってくれる会社に頼りたくなるかもしれません。

ただ、まだ中身がわからない段階では、対応できる範囲にも不確実さがあります。

私は、最初の相談で次のことを説明してくれるかが大切だと考えています。

  • 何を優先して確認するか
  • 自社は何を用意し、何を支援してもらえるか
  • どこまで調査するか、費用はいくらか
  • いつ何を報告し、次の判断をするか

わからないことを、そのままにせず整理してくれる。
できることと、まだ約束できないことを分けて話してくれる。

そんな相談先を選ぶと、社内でも次の判断をしやすくなります。

まとめ

  • まずは業務への影響と、更新などの期限を確認する
  • 別の連絡先も確認し、やりとりの記録を残す
  • 情報がそろうのを待たず、新しい保守会社に相談する
  • 技術的な整理や質問づくりは、一緒に進めてもらう
  • 契約、権限、安全性を確認してから変更や引き継ぎを進める

連絡が取れない状況で、担当者がすべてを背負う必要はありません。

「何がわからないかもわからない」という段階から、一緒に整理してくれる相手を探してください。

担当者とエンジニアが、業務、困りごと、期限について、不明な欄を残したメモを一緒に整理している。

どこから手をつけるか、一緒に整理します

株式会社Ouverでは、他社が開発したシステムの調査や、保守の引き継ぎについてご相談を受けています。

「前の会社と連絡が取れない」
「何を引き継いでもらえばよいかわからない」
「更新期限が迫っているが、契約先もわからない」

まずは、システムの用途、困っていること、期限があるかをお知らせください。

状況をお聞きし、確認すべき情報と優先順位を一緒に整理します。調査が必要な場合は、範囲と費用をご説明したうえで進めます。

パスワードやAPIキーなどは、お問い合わせフォームに入力しないでください。必要な情報は、安全な受け渡し方法を別途ご案内します。

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