
この記事の要約
500名以上が登録する専門職向けオンライン研修システムの保守運用を引き継ぎ、PHP 5系からPHP 8系へ更新。仕様書のない状態から調査と文書化を進め、既存資産を活かす方針を選んだ理由と、約8ヶ月の改修・テストを紹介します。
PHP 5系で動いている業務システムを、すべて作り直すべきか。それとも、既存の機能やプログラムを活かしてバージョンアップするべきか。長年利用してきたシステムの刷新では、現状を調べたうえで方針を判断することが重要です。
今回は、有資格者や専門職が500名以上登録するオンライン研修・受講管理システムについて、株式会社Ouverが保守運用を引き継ぎ、PHP 5系からPHP 8系へ更新した事例をご紹介します。仕様書のない状態から調査とドキュメント化を進め、約8ヶ月かけてバージョンアップを完了しました。
プロジェクト概要
- 対象
- 専門職向けオンライン研修・受講管理システム
- 登録者数
- 500名以上
- 支援内容
- 保守引き継ぎ、既存システムの調査・仕様書作成、PHP 8系への改修・更新、継続的な保守運用
- 期間
- 約8ヶ月(事前調査・ドキュメント化・改修・テストを含む)
不具合に加え、障害時の対応にも不安があった
お客様が運営するオンライン研修システムでは、バグの頻発や受講料の二重決済、画面や操作の使いづらさといった課題が生じていました。受講者が実際に利用しているシステムであり、日々の運営を支える保守運用体制の見直しも必要な状況でした。
また、お客様によると、当時の保守会社へ障害調査を依頼しても回答が得られず、状況を確認するために繰り返し連絡することがあったそうです。こうした経緯から、システムの状態を把握し、継続して相談できる保守運用パートナーを探す中で、Ouverへご相談いただきました。
今回の支援は、PHPのバージョンを更新するだけの依頼ではありませんでした。既存システムの実態を明らかにし、改修方針を判断できる状態にすることから始まりました。

仕様書がないシステムをソースコードから読み解く
引き継ぎにあたり、ソースコードとサーバー情報を受領して調査を開始しました。しかし、既存の仕様書や設計書は一切残されていませんでした。
この状態で改修を進めるには、現在のプログラムがどのような処理を行い、システムとしてどのように動いているのかを理解する必要があります。そこで、ソースコードを読み解いて仕様を把握する「リバースエンジニアリング」を行い、仕様書を新たに作成しました。
既存の処理を確認しながら文書に整理することで、PHP 8系へ移行する際に何を変更し、何を引き継ぐのかを検討するための土台を整えました。仕様の把握とドキュメント化には時間がかかりましたが、改修内容を判断し、その後のテストを進めるうえでも重要な工程でした。

更新するライブラリと、流用できる資産を見極める
調査で特に時間と工数をかけたのが、利用しているライブラリの更新要否と、既存のプログラムをどこまで流用できるかの判断です。
古いシステムであっても、すべてを同じように扱えるわけではありません。継続して利用できる部分がある一方、更新や改修が必要な部分もあります。今回も、PHP 8系への移行を前提に、既存資産を活かせる範囲を一つずつ確認しました。
調査を進める中では、データベースの構成やデータの取り扱いについて、セキュリティの観点から見直しが必要な点も見つかりました。これらについても修正をご提案し、バージョン更新だけに限定せず、システム全体の状態を踏まえて改修方針を検討しました。
PHP 5系は公式サポートが終了しています。ただし、PHPの更新だけで、アプリケーションの設計やデータ管理を含むすべての課題が解消されるわけではありません。今回のように、引き継いだシステム自体の調査も必要になります。
全面的な作り直しではなく、PHP 8系への更新を選択
当初は、別の言語でゼロから作り直す方法も検討していました。しかし、調査の結果、このシステムには流用できる資産が一定数あると判断しました。
そこでOuverからは、全面的な再構築を行うのではなく、既存資産を活かしながらPHP 8系へ改修・アップデートする方針をご提案しました。お客様にも方針とお見積もりをご確認いただき、ご承認のうえで進めています。
この事例で重視したのは、システムが古いという理由だけで作り直しを決めないことです。現行システムの理解を深め、更新が必要な箇所と継続利用できる箇所を見極めたことが、今回の選択につながりました。
刷新方法は、システムごとの状態によって変わります。本案件では、調査で確認した既存資産を活かす方法が適していると判断しました。
反対に、調査の結果、新しい構成での再構築を選んだ事例は「PHP 5の在庫・受発注管理システムを約6ヶ月で再構築した事例」でご紹介しています。

約8ヶ月かけて更新し、その後も保守運用を継続
プロジェクト全体では、事前調査とドキュメント化、その後の改修・テストに十分な工数を確保し、約8ヶ月かけてPHP 8系へのバージョンアップを完了しました。移行は大きなトラブルなく終えることができ、現在もOuverが継続して保守運用を担当しています。
今回の支援では、仕様書が残っていないシステムについて、ソースコードから仕様を整理し、更新方針の検討、改修、テスト、その後の保守運用まで対応しました。
システムの更新後も、使い続けるための保守運用は続きます。今回作成したドキュメントや調査で得た理解も、継続的にシステムを支えるための基礎となります。

古いシステムの刷新や保守運用の引き継ぎをご相談ください
「PHP 5系のシステムを使い続けている」「仕様書がなく、改修できるか分からない」「現在の保守運用体制を見直したい」。こうした課題に対して、Ouverでは既存システムの調査からご相談いただけます。
全面的な作り直しが必要か、既存資産を活かした改修が可能かは、システムの状態によって異なります。まずは現状を確認し、今後の利用方針も踏まえて進め方を検討します。




