
この記事の要約
開発会社の倒産でサーバーが停止した印刷会社の業務システム(Java・MySQL)を、仕様書・ソースコード・MySQLのバックアップから復旧。約1週間の環境設置と約半年の安定化、復旧できなかったデータ、継続保守の対応を紹介します。
開発会社が倒産し、契約していたサーバーまで停止したシステムは、引き継いで復旧できるのでしょうか。
今回の印刷会社様のケースでは、残された仕様書・Javaのソースコード・MySQLのバックアップをもとに、新しいサーバーへ環境を再構築しました。調査・サーバー契約・コードとデータベースの設置まで約1週間。その後、運用を再開しながら仕様確認と修正を続け、安定稼働まで約半年を要しました。
ただし、バックアップ取得後からサーバー停止までのデータは復旧できませんでした。株式会社Ouverが担当した本事例について、復旧できた範囲と限界、運用再開後の保守対応を紹介します。
プロジェクト概要
- 業種
- 印刷業
- 対象
- 受発注管理、印刷の設計書・業務上の指示書を作成するシステム
- 使用技術
- Java、MySQL
- 相談時の状況
- 開発・保守会社の倒産、サーバー停止、旧環境へのアクセス不可
- 残されていたもの
- 過去の仕様書、ソースコード、MySQLのバックアップ
- 不明だったこと
- Java・サーバー環境・MySQLの各バージョン、資料と最新仕様の一致
- 初期対応
- 約1週間で調査、新サーバー契約、コード・データベースの設置
- その後の対応
- 運用再開後も確認・修正を重ね、約半年かけて安定稼働
- 結果
- 現在は全面的に稼働し、Ouverが保守を継続。バックアップ以降のデータは復旧できず
開発会社の倒産で、なぜ業務システムまで停止したのか
サーバーを契約していたのが、お客様ではなく開発・保守会社だったためです。その会社の倒産後、サーバー料金が支払われなくなり、システムを利用できなくなっていました。
対象のシステムは、受発注の管理に加え、印刷の設計書や業務上の指示書を作成するものでした。現場で仕事を進めるための書類を扱うため、停止の影響はシステムの担当者だけにとどまりません。
システムが使えない間は、それまで自動で作成していた書類を手書きで用意する必要がありました。本来システムが担っていた作業を、人の手で補わなければならない状況です。
保守担当者に対応を依頼することも、元の環境に入って調査することもできない。そうした状態で、Ouverに引き継ぎのご相談をいただきました。

仕様書とソースコードがあっても、復旧が難しかった理由
ソースコードが残っていても、以前と同じ環境で動かせるとは限りません。今回、相談時点で分からなかったのは、Java、サーバー環境、MySQLの各バージョンでした。
旧サーバーにアクセスできれば、設定やデータを確認できる可能性があります。サーバー提供会社にも連絡しましたが、対象のシステムがお客様のものであることを証明できず、この案件ではアクセスの回復に至りませんでした。
過去の仕様書にはシステムに関する情報がありましたが、古い資料だったため、最後に動いていた環境や仕様と一致しているかも確認が必要でした。
そのため、元の環境をそのまま複製するのではなく、残された資料とコードを調べ、新しいサーバーで動作を確かめながら環境を整える方針で進めました。
バックアップ以降のデータも復旧できたのか
バックアップに含まれるデータは復旧に利用できましたが、その取得後からサーバー停止までのデータは復旧できませんでした。
残されていたバックアップは停止直前のものではなく、すべての業務データが保存されていたわけではありませんでした。
本事例の「復旧」は、データをすべて元どおりに戻したという意味ではありません。残っているデータを用いてシステムを再び動かし、業務を継続できる状態へ戻す取り組みです。
システムの稼働を復旧することと、過去の業務データをすべて取り戻すことは、分けて考える必要がありました。

約1週間で対応したのは、調査と新しい環境への設置
Ouverは、まずソースコードと仕様書を確認し、実行環境を調査しました。お客様からAI活用の了承もいただいていたため、調査にはAIも利用しています。
新しいサーバーを契約し、ソースコードとデータベースを設置。コードの内容と実際の動作を確認しながら、必要な環境の調整を進めました。
調査、新しいサーバーの契約、ソースコードとデータベースの設置までにかかった期間は、およそ1週間です。
これは、1週間ですべての業務が問題なく動くことを確認できたという意味ではありません。動作を確かめられる環境を用意する段階と、現場で安定して利用できるようにする段階には、それぞれ別の課題がありました。
なぜ安定稼働まで約半年かかったのか
最も難しかったのは、プログラムが動くだけでなく、その結果が業務上正しいかを確認することでした。
元のシステムにはアクセスできず、同じ操作をして結果を見比べることができません。古い仕様書にも、その後の変更がすべて反映されているとは限りませんでした。
Ouver側でもテストを実施しましたが、実際の業務で求められる挙動まで、開発側だけですべて判断することはできません。
そのため、運用を再開した後も、お客様に業務の流れの中で動作を確認していただき、仕様のすり合わせと修正を続けました。問題が見つかった際には状況を確認し、業務に影響するものには緊急対応も行っています。
単にコードを修正するだけでなく、以前はどう動いていたのか、現場ではどのような結果が必要なのかを確認しながら対応する必要がありました。急ぎの修正と業務理解を並行して進めるため、人の手と時間が大きくかかる工程でした。
本案件では、こうした確認と修正を重ね、全体が安定して稼働するまでに約半年を要しました。初期の環境構築だけでなく、その後の保守が、業務で継続して利用できる状態へ整える役割を担った事例です。

現在も保守を継続。引き継ぎは環境をつくって終わりではない
現在、システムは全面的に稼働しており、Ouverが引き続き保守を担当しています。
今回の支援で重要だったのは、新しいサーバーにプログラムを設置することだけではありません。残された情報から環境を構築し、確認できない仕様をお客様と整理し、業務の中で見つかった問題に対応し続けたことでした。
また、ソースコードや仕様書が手元にあっても、それだけですべての環境やデータを復旧できるわけではないことも、本事例から分かります。日頃から、サーバーの契約・管理情報、バックアップの取得時点や保管場所、アクセスできる担当者を把握しておくことが大切です。

開発会社の倒産・サーバー停止時の引き継ぎに関するFAQ
Q. 開発会社が倒産したシステムでも、保守を引き継げますか。
A. 残された資料・コード・データ、環境へのアクセス状況によって対応の可否や範囲は変わります。本事例では、過去の仕様書、ソースコード、データベースのバックアップをもとに新しい環境を構築し、保守を引き継ぎました。すべての案件で同じように復旧できるとは限りません。
Q. 仕様書とソースコードがあれば、以前と同じように動かせますか。
A. それだけでは判断できません。実行環境や依存する構成、仕様書と実際の業務の違いを確認する必要があります。本事例では各バージョンが不明で旧環境にもアクセスできず、コード調査とお客様との動作確認を重ねました。
Q. システムが復旧すれば、失われたデータも戻りますか。
A. システムの稼働とデータの復旧は別です。本事例では残されたバックアップを利用しましたが、その取得後から停止までのデータは復旧できませんでした。
Q. この事例は、約1週間で完全復旧したということですか。
A. いいえ。約1週間は、調査・新しいサーバーの契約・コードとデータベースの設置までの期間です。その後も運用しながら仕様確認と修正を行い、安定稼働までには約半年かかりました。この期間は本案件の実績であり、他案件の納期を示すものではありません。
システムの保守引き継ぎ・復旧をご相談ください
開発会社の倒産や連絡不能によって保守が途絶えた場合も、残っている資料やデータによって、取り得る対応は変わります。
Ouverでは、仕様書・ソースコード・バックアップなどの状況を確認し、引き継ぎや復旧の進め方を検討します。「元の会社に連絡が取れない」「サーバーが停止してしまった」といった場合も、まずは現在の状況をご相談ください。




