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コラム 受託開発
公開日

システム開発の見積もりの見方:見積書で確かめる項目と、2社以上を比べるときのそろえ方

システム開発の見積もりの見方。担当者2人が見積書とチェックリストを照らし合わせるイラスト。

この記事でわかること

  • 見積額だけで比べると、何を見落としやすいか
  • 見積もりを頼む前に、各社へ同じ情報を渡す方法
  • 見積書で確かめる項目と、そのまま相手に聞ける質問
  • 2社以上の見積もりを、同じ条件にそろえて比べる手順

システム開発の見積もりは、総額だけでは比べられません。同じ「受発注システム」の見積もりでも、データの移し替えやテスト、開発後にかかる利用料や保守が含まれているかどうかで、金額の意味が変わるためです。この記事では、見積書で確かめる項目と、相手に聞ける質問、2社以上の見積もりを同じ条件にそろえて比べる手順を、仮の例を使って説明します。

1 見積額だけで比べると、何が起きるか

見積額に差があるとき、その理由が「作るもの」や「やる作業」の違いにあることがあります。安く見える見積もりに、必要な作業が入っていないこともあれば、高く見える見積もりに、ほかの会社が「別途」としている作業まで入っていることもあります。

仮の例:受発注システムの見積もりを2社に頼んだ場合

A社の見積書には、画面と機能の開発に加えて、今のExcelからのデータの移し替え、操作の説明、お客様が行う受入テストの支援が入っていました。B社の見積書は、画面と機能の開発だけで、データの移し替えは「別途」、サーバーの利用料は「含まない」と書かれていました。

総額はB社のほうが低く見えますが、A社と同じ範囲にそろえると、差が縮んだり、逆になったりすることがあります。

※説明のための仮の例です。実際の案件や見積書ではありません。

仮の見積もり例。A社にはデータ移行、操作説明、受入テスト支援が含まれ、B社ではデータ移行が別途、サーバー利用料は含まれない。総額だけでは比べられないことを示す図。

見積もりを比べるときは、まず「同じものを頼んでいるか」をそろえ、そのあとで金額を比べます。

2 見積もりを頼む前に、各社へ同じ情報を渡す

比べる前の準備として、どの会社にも同じ情報を渡して見積もりを頼みます。渡す情報が会社ごとに違うと、見積もりの前提もずれてしまいます。

渡しておきたい情報の例は次のとおりです。詳しい仕様書がなくても構いません。

  • 対象の業務と、困っていること(例:営業が受けた注文をExcelに入力し、倉庫にメールで送っている。修正のたびに送り直している)
  • 使う人と部署、おおよその人数
  • 今のデータの置き場所と量の目安(Excelのファイル、ほかのシステムなど)
  • つなぎたいシステムや外部のサービス
  • 使い始めたい時期と、その理由
  • 予算(決まっていなければ「未定」と伝えて構いません)
  • 今回の対象にすることと、後で検討したいこと

業務の説明や帳票の見本など、手元の資料を渡すときは、全社に同じものを渡します。個人情報や社外に出せない情報は、見本のデータに置き換えましょう。

3 「概算」と「条件を具体化した見積もり」を混ぜない

最初の相談の段階で出てくる金額は、今ある情報と仮の前提から出した概算のことがあり、要件を確かめると作業が増えたり減ったりして、金額が変わる場合があります。概算と、条件を具体化した見積もりを並べても、正しく比べられません。比べるときは、同じ段階の見積もり同士で比べましょう。

何を作るかがまだはっきりしない場合は、先に業務の調査や要件の整理だけを頼み、その結果をもとに開発の見積もりを出してもらう進め方もあります。

開発の全体の流れと、見積もり・契約の位置づけは、サービスのページで説明しています。

システム開発を依頼する流れを見る

4 見積書で確かめる項目と、相手に聞ける質問

見積書を受け取ったら、次の項目が書かれているか、書かれていなければどう扱われるかを確かめます。そのまま相手に聞ける質問も添えます。

見積書で確認する10項目。機能・画面、データ移行、連携、テスト・検収、利用料、操作説明、保守、変更の扱い、契約・支払い、日程・準備。

対象の業務と、機能・画面の一覧

見積もりに含まれる機能や画面が、一覧で分かるかを確かめます。「受注管理機能一式」のように、まとめた書き方だけでは、何が入っているか分かりません。

  • 聞ける質問:「この金額に含まれる機能と画面の一覧を見せてもらえますか?」

データの移し替え(移行)

今のExcelやシステムのデータを、新しいシステムへ移す作業が含まれるかを確かめます。移す範囲と量、表記の揺れや重複を直す作業を誰が行うかで、手間が大きく変わります。

  • 聞ける質問:「データの移し替えは含まれますか?移す前のデータの整理は、どちらが行いますか?」

ほかのシステム・サービスとの連携

会計ソフトや在庫のシステムなどとつなぐ場合、連携の方法と、相手先の会社の協力が必要かを確かめます。協力が必要な場合は、その準備が日程に影響することもあります。

  • 聞ける質問:「連携先の会社に、こちらから頼んでおくことはありますか?」

テストと、受入テスト・検収

開発する側のテストと、お客様が業務の流れに沿って確かめる受入テストは、別のものです。受入テストを手伝ってもらえるか、検収の条件は何かを確かめます。

  • 聞ける質問:「受入テストの進め方と、検収の条件を教えてください。受入テストで直してほしい点が出たら、どこまでがこの見積もりの範囲ですか?」

開発費の外にかかる費用

サーバーや外部サービス、ソフトウェアの利用料は、開発費とは別に毎月かかることがあります。見積もりに含まれているか、誰の名義で契約するかも確かめます。

  • 聞ける質問:「サーバーや外部サービスの利用料は、見積もりに含まれていますか?契約の名義はどちらになりますか?」

操作の説明と、使い始めるときの支援

使う人への操作の説明、手順書の作成、使い始める日の立ち会いなどが含まれるかを確かめます。

  • 聞ける質問:「操作の説明や手順書は、見積もりに含まれていますか?」

納品後の不具合への対応と、使い始めたあとの保守

納品したものが合意した仕様に合わない場合の修正と、使い始めたあとの問い合わせ対応や継続的な保守は、分けて確かめます。不具合への対応条件や期間、別料金になる作業を確認したうえで、保守の範囲と費用も見積もってもらいましょう。保守の費用の見方は、次の記事で解説しています。コラムシステム保守の費用相場は?月額の目安と5つの確認ポイント

  • 聞ける質問:「納品したものが合意した仕様に合わない場合は、どんな条件で、いつまで直してもらえますか?そこから先の問い合わせ対応や修正は、保守としてどこから別になりますか?」

途中で変更が出たときの扱い

開発を進めると、要望が増えたり、仕様を変えたくなったりすることがあります。当初の範囲に含まれるのはどこまでか、範囲を超えるときに、相談・見積もり・判断をどの順番で進めるかを確かめます。

  • 聞ける質問:「途中で要望が増えたら、どう相談し、いつ費用と日程が決まりますか?」
要望が出たら範囲を確認。範囲を超える場合は相談、見積もり、判断を経て作業へ進み、範囲内なら作業へ進む流れ。

契約の形と、支払いの条件

契約の形によって、見積書で見るところが変わります。請負では仕事の完成を約束するため、完成させるものの範囲と、完成を確認する条件を見ます。準委任では依頼する業務を適切に進めることを約束するため、業務の内容、期間、体制、報告方法を見ます[1]。ただし、準委任にも成果に対して報酬を定める形があります[1][2]。契約名だけで判断せず、何を約束し、何を基準に支払うのかを確かめましょう。あわせて、支払いの時期と条件も確かめましょう。

  • 聞ける質問:「この見積もりは、どちらの契約の形を想定していますか?支払いの時期と条件を教えてください。」

日程と、こちら側の準備

日程に、自社の担当者がデータを用意する時間や、確認・承認にかかる時間が入っているかも見ます。こちら側の準備が遅れると、全体の日程が延びることがあります。

  • 聞ける質問:「この日程の中で、こちらが用意するものと、確認・承認を行う期限を教えてください。」

5 2社以上の見積もりを、同じ条件にそろえて比べる手順

見積もりがそろったら、次の順番で比べます。

  1. 4章の項目を行に、会社を列にした比較表を作る
  2. 各社の見積書を読み、「含む」「別途」「含まない」「記載なし」で埋める。契約の形、支払いの条件、日程は「含む」「別途」で分けず、各社の具体的な条件をそのまま書き込む
  3. 「別途」「記載なし」の項目と、自社には必要なのに「含まない」とされている項目は、4章の質問で各社に確かめる
  4. 範囲がそろっていない項目は、足りない作業を含めた見積もりを頼むなどして、同じ範囲にそろえる
  5. そろえた条件で、金額を比べ直す
  6. 金額のほかに、説明の分かりやすさ、進め方、体制、使い始めたあとの保守も見る

仮の例:比較表の書き方

項目

A社

B社

機能・画面の一覧

含む

含む

データの移し替え

含む

別途

受入テストの支援

含む

記載なし

サーバーの利用料

含まない

含まない

開発したあとの保守

別に見積もり

記載なし

この例では、B社に「データの移し替え」と「受入テストの支援」を含めた見積もりと、保守の範囲・費用を確かめてから、A社と比べ直します。

※説明のための仮の例です。実際の案件や見積書ではありません。

質問して確かめる、範囲をそろえる、比べ直す、の3段階で見積もりを同じ条件にそろえる手順。

比較表は、社内で判断する人にも共有しておくと、「なぜこの会社を選んだか」を説明しやすくなります。

6 見積もりの結果、「今は作らない」と決めることもある

見積もりは、発注先を選ぶためだけのものではありません。必要な機能と費用が分かると、効果と比べて「どこまで作るか」「今は作らないか」を判断する材料にもなります。

約15年使ってきた在庫・売上管理システムを引き継いだ卸・メーカーの会社では、Excelで補っていた業務をシステムに入れることを検討しました。必要な機能と費用を出して効果と比べたところ、すべてをシステムにするには大きな費用がかかることが分かり、全面的なシステム化は見送って、今のシステムの改善を優先しました。その結果、受注履歴100件の表示にかかっていた時間が、約10分から約30秒になりました。事例受注履歴100件の表示が約10分から約30秒に|九州の卸・メーカー・EC販売企業のシステム保守引き継ぎ事例

システム開発の見積もりを、相談しながら進めませんか

見積もりは、金額を受け取って終わりではありません。何が含まれていて、何が別なのかを確かめ、同じ条件にそろえて比べることで、発注したあとの「思っていたのと違う」を減らせます。

Ouverでは、初回のご相談とお見積もりは無料です。仕様書や要件の資料がなくても、今の業務と困っていることを伺うところから始められます。要件を整理したうえで、内容と費用を明記したお見積もりを出し、着手の前に作業の範囲・費用・精算の方法をご説明します。範囲や費用が変わるときは、進める前にご相談します。詳しい調査や要件の整理が必要な場合は、先に範囲と費用をお伝えし、ご了承をいただいてから始めます。

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参考資料

よくある質問

見積もりは、何社に頼めばよいですか?
決まった数はありません。頼む会社が増えるほど、同じ情報を渡し、比較表で条件をそろえる手間も増えます。自社で比較表を管理し、各社に確認の質問ができる数にとどめると進めやすくなります。
仕様書がなくても、見積もりを頼めますか?
頼めます。対象の業務、困っていること、使う人、今のデータなどを伝えれば、相談を始められます。ただし、情報が少ない段階の金額は概算になり、要件を確かめると変わることがあります。詳しく決まっていない場合は、先に調査や要件の整理を頼み、その結果で開発の見積もりを出してもらう進め方もあります。
見積額が会社によって大きく違うのはなぜですか?
作るものの範囲、データの移し替えやテストなど含まれる作業、利用料などの扱い、契約の形が、会社によって違うことがあるためです。比較表で「含む」「別途」「含まない」をそろえてから、金額を比べ直してください。
見積もりのあとに要望が増えたら、どうなりますか?
当初の範囲に含まれない要望は、追加の費用や日程の見直しが必要になることがあります。契約の前に、どこまでが当初の範囲か、範囲を超えるときに相談・見積もり・判断をどう進めるかを確かめておきましょう。
請負と準委任では、見積書の見方は変わりますか?
変わります。請負では仕事の完成を約束するため、完成させるものの範囲と、完成を確認する条件を見ます。準委任では依頼する業務を適切に進めることを約束するため、業務の内容、期間、体制、報告方法を見ます。ただし、準委任にも成果に対して報酬を定める形があります。契約名だけで判断せず、何を約束し、何を基準に支払うのかを確かめてください。

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