
この記事でわかること
- 社内で開発したシステムの保守を、外部に任せるまでの流れ
- 引き継ぎの約2か月で行ったこと
- 対応量が読めない導入直後に、実績精算から始めた理由
- 受付・一次回答・担当体制・報告をどう決めたか
工場で使う安全管理のシステムを、お客様の情報システム部門が社内で開発し、新しく導入することになりました。株式会社Ouverは、その導入にあわせて保守運用を担当しています。
ご相談の理由は2つでした。導入の初めは問い合わせが増えると見込まれていたこと。そして、システムが一部の担当者しか分からない状態(属人化)を避けたかったことです。
本記事では、約2か月の引き継ぎで行ったこと、保守の中身の決め方、導入直後に月約70時間あった対応が月約20時間に落ち着くまでを紹介します。
プロジェクトの概要
- 業種
- 製造業(従業員約600名)
- 対象
- 工場で使う安全管理・リスクマネジメントのシステム
- 開発
- お客様の情報システム部門が社内で開発
- 相談時の状況
- 新規導入の時期。導入初期の問い合わせの増加と属人化への備え
- 引き継ぎ
- 約2か月
- 料金
- 実績精算で始め、対応が落ち着いてから月額固定(月約10万円)に切り替え
- 担当体制
- Ouverの2名
- 結果
- 導入直後は月60〜70時間だった対応が、4〜6か月で月20時間前後に
社内で作ったシステムの保守を、外部に任せた理由
始まりは、お客様から当社へのお問い合わせでした。打ち合わせを重ねるなかで、保守をお任せいただくことになりました。
対象のシステムは、お客様の情報システム部門が社内で開発したものです。新しく導入するシステムのため、利用する方は使い方に慣れていません。導入の初めは、使い方の問い合わせや修正の依頼が増えると見込まれていました。
あわせて、作った人だけが分かる状態(属人化)を防ぎたいというご要望もあり、当社が保守に入ることになりました。
社内で開発したシステムの保守を外部に任せるときの、社内との役割分担は別の記事で解説しています
コラム自社開発システムの運用保守は外注できる?社内開発との役割分担。

引き継ぎの約2か月で行ったこと
引き継ぎには約2か月をかけました。行ったのは次の作業です。
- ソースコードの調査と分析
- 軽微なセキュリティ対応
- 改修したほうがよい所の洗い出し
- サーバー構成の見直しと、費用を抑えるための構成のご提案
- 検証環境の構築(それまで検証環境がなかったため)
- デプロイ(本番に反映する)方法の確認
ソースコードを調べた結果は仕様書にまとめ、調査報告としてお客様にお渡ししました。「この理解で合っていますか」と確認していただくためです。
最後に、調査から修正、デプロイまでを当社で行えることを確かめ、引き継ぎを完了しました。

仕様書もソースコードもあったが、正解が分からなかった
もともとの仕様書はあり、ソースコードやサーバーの状態も悪くはありませんでした。
ただ、導入にあたっての要件定義が十分ではなかったようで、導入後に「業務で使うなら、もう少しこうしてほしい」「この結果は間違っている」という声がたびたび出ていました。
当社は開発に関わっていないため、どれが正しい結果なのかが分かりません。そこで導入の初めは、週1回ほどの定例会を開きました。出てきた要望をどこまで直すか、修正の内容が合っているかを確かめながら、要件の確認から修正までを短い周期でくり返しました。

最初から月額固定にしなかった理由
導入直後は、対応の量がかなり多くなると見込まれていました。そこで最初から月額を決めるのではなく、対応した時間で精算する「実績精算」で始めることをご提案しました。
お客様の予算を超えない範囲で柔軟に対応しながら、4か月から半年ほどで、必要な対応時間の見込みを出す進め方です。この提案をお受けいただき、保守を始めました。
実際に、最初の4か月ほどは問い合わせ、軽微な修正、不具合の調査と対応が多く、対応時間は月60〜70時間になりました。4か月を過ぎたころから少しずつ減り、月20〜30時間ほどに落ち着きました。
対応時間の見込みが立ったところで、月額固定に切り替えました。お客様のご希望の月約10万円に合わせ、月20時間前後を目安にしています。
- 月60〜70時間導入直後(最初の4か月ほど)
- 月20時間前後4〜6か月後
- 月約10万円切り替え後の月額固定
※対応時間の推移は本件でのものです。システムの規模や導入の状況によって変わります。

保守の中身はこう決めた
保守費が適正か判断する5つの確認ポイント
コラムシステム保守の費用相場は?月額の目安と5つの確認ポイントに沿って、この案件で決めた内容をまとめます。
- 対応範囲
- ユーザーからの問い合わせ対応、軽微な修正、サーバー構成の見直し、セキュリティチェック、ソースコードレビュー、仕様書の作成とドキュメントの整備、軽微なバージョンアップ
- 対象外
- 大規模な改修やバージョンアップ(別途お見積もり)
- 受付時間
- 平日9時〜18時。時間外も対応できますが、料金は1.25倍
- 一次回答
- その日のうちに回答。17時・18時ごろなど遅い時間のご連絡は翌営業日
- 復旧の見込み
- お約束はしていません。想定は2〜5営業日
- 担当体制
- 2名で担当し、1人に頼らない
- 料金と時間
- 月額固定で月約10万円。対応時間は月20時間前後が目安
- 追加費用
- 1時間5,500円。大規模な対応は別途お見積もり
- 報告
- 月1回、どの対応に何時間使ったかを報告
問い合わせが減り、対応時間が月約20時間に
導入直後の問い合わせの多くは、使い方に関するものでした。新しく導入したシステムのため、利用する方がまだ使い方を分かっていない状態だったためです。
そこで、ドキュメントの整備と、よくある質問(Q&A)の整備を進めました。これにより、問い合わせの件数が減っていきました。
あわせて、問い合わせのやり取りを効率化する当社の自社ツール「Kotozute(言伝)」を導入し、やり取りにかかる手間も減らしています。
Kotozute(問い合わせ対応の効率化に向けた自社開発の取り組み)を見る
導入直後(最初の4か月ほど)
- 使い方の問い合わせが多い
- 軽微な修正、不具合の調査と対応が多い
- 週1回ほどの定例会で、要望と修正内容を確認
- 対応時間は月60〜70時間
4〜6か月後
- ドキュメントとQ&Aを整え、問い合わせが減少
- Kotozute(自社ツール)で、問い合わせのやり取りを効率化
- 対応時間は月20時間前後
- 月額固定(月約10万円)に切り替え
社内で作ったシステムの保守をご相談ください
社内で開発したシステムも、外部の保守会社が引き継ぐことができます。導入直後のように対応の量が読めないときは、実績精算で始めて、落ち着いたところで月の対応時間を決める進め方もできます。
「作った担当者しか分からない」「導入後の問い合わせに手が回らない」という方は、今の状況をお聞かせください。




