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日報の電子化は何から始める?入力・確認・集計をつなぐ進め方

日報の電子化。現場でタブレットに日報を書く作業員と、事務所で確認する担当者が、入力から集計までつながっているイラスト

この記事でわかること

  • 日報の電子化で、最初に決めること
  • 入力・確認・集計の場面ごとに決めておきたいこと
  • 今のツールで足りる場合と、足りない場合の見分け方
  • 1つの現場で小さく試し、効果を比べる方法

日報の電子化は、入力に使う道具を選ぶところからではなく、「その日報を、誰が、何の判断に使うか」を決めるところから始めると、つまずきにくくなります。日報を「入力」「確認」「集計」「後工程(請求・原価・翌日の段取りなど)」の場面に分けて今の流れを書き出し、1つの現場で小さく試して、比べてから広げます。この記事では、紙やExcelで日報を書いている会社の経営者と、現場・事務の担当者に向けて、場面ごとに決めておきたいことを整理します。

1 最初に、日報の「使い道」を決める

日報には、いくつもの使い道が重なっています。案件ごとの作業時間の集計、請求や原価の確認、翌日の段取りや人の手配、品質や安全の記録、上司から現場への助言などです。紙の日報では、こうした使い道が1枚の用紙にまとめて書かれ、事務の担当者が読み取って、それぞれの台帳やExcelに書き写していることがよくあります。

電子化するときに、今の用紙の欄をそのまま画面に移すと、この書き写しの作業が残ったままになりがちです。先に使い道を書き出し、使い道ごとに「どの欄が」「いつまでに」必要かを決めると、入力の画面に置く欄と、置かなくてよい欄が見えてきます。

仮の例として、設備工事の会社で、職人が紙の日報を書き、事務の担当者が翌朝Excelに打ち直しているとします。使い道を書き出すと、次のように整理できます。

使い道

必要な欄

いつまでに

案件ごとの原価の確認

現場名、作業の種類、作業時間

月末の締めまで

翌日の段取り

終わらなかった作業、足りない材料

当日の夕方まで

請求の確認

追加の作業、使った材料

請求書を作る前まで

締めの時刻が違う使い道が1枚の日報に混ざっていると、「夕方までに必要な情報」が、翌朝まで事務所に届かないことになります。使い道ごとの期限が分かると、入力の時点や確認の期限も決めやすくなります。

日報を入力、確認、集計、後工程の4つの場面に分けた流れ図。後工程の先に、請求、原価の確認、翌日の段取りという使い道がある

2 入力:現場で、その場で書ける形にする

入力の場面で決めておきたいのは、次の5つです。

書く時点
作業が終わるたびに書くか、1日の終わりにまとめて書くか
端末
個人のスマートフォン、会社のタブレット、事務所の共有パソコンのどれで書くか
電波の届かない場所
地下や山間部の現場で、書いた内容を端末に残し、あとで送れるか
写真
何を撮るか(作業の前後、不具合の箇所など)と、どの案件の写真かが分かるか
選ぶ欄と書く欄
現場名や作業の種類は一覧から選び、気づいたことは自由に書く

使う端末、日報や写真を見られる人、写真の扱いは、社内の情報管理のルールに合わせて決めます。個人のスマートフォンを使う場合は特に、どこまでを日報に載せてよいかを先に確かめておきます。

選ぶ欄を増やすと集計はしやすくなりますが、増やしすぎると入力に時間がかかり、「その他」ばかり選ばれるようになります。1で決めた使い道に結び付かない欄は、外すことも考えます。

画面の上で決めた内容は、一度、現場の条件で書いてみます。手袋をしたまま操作できるか、屋外の明るい場所で文字が読めるか、移動の合間の短い時間で書き終わるか。机の上では気づかない書きにくさが、ここで見つかります。

スマートフォンの日報の画面。現場名や作業の種類は一覧から選び、気づいたことは自由に書き、写真を添える欄に分かれている

3 確認:差し戻しと訂正のルールを決める

紙の日報では、上長が目を通してハンコを押していた会社もあると思います。電子化すると確認の記録は残しやすくなる一方で、ルールがないと「誰が確認したのか」「直したのは誰か」が分からなくなります。

決めておきたいのは、次の4つです。

  • 確認する人と、確認する期限(たとえば「翌日の昼まで」)
  • 差し戻すときの伝え方(どの欄を、なぜ直してほしいか)
  • 訂正したときに、前の内容と、直した人・日時を残すか
  • 締めの時刻までに出ていない日報を、誰が、どう知らせるか

確認する人を増やすほど、日報が後工程に届くのは遅くなります。確認の段階は、使い道に必要な数にとどめます。

差し戻しの理由が、いつも同じ欄に集まることもあります。仮の例として、使った材料の欄が空欄のまま出され、毎回差し戻しになっているとします。この場合は、確認を厳しくするより、入力の画面を見直す方が、差し戻しそのものを減らせます。たとえば、材料の欄を空欄では送れないようにしたうえで、材料を使わなかった日は「使用なし」を選べるようにします。よく使う材料を一覧から選べるようにすると、書く手間も減ります。「使用なし」の選択肢がないと、空欄を避けるために実際とは違う値が入るおそれがあります。

4 集計:日・人・現場の単位をそろえる

集計で困るのは、日報が自由に書かれていて、あとから数えられない場合です。

仮の例として、「A様邸 午前 配管、午後 B現場の手伝い」と1行で書かれた日報を考えます。現場ごとの作業時間を出すには、事務の担当者が文章を読み取って、現場と時間を分け直す必要があります。日付・人・現場・作業の種類・時間の欄を分け、1つの行には1つの現場の作業だけを書くようにすると、そのまま集計できます。

集計の単位をそろえるときに確かめたいのは、次の点です。

  • 現場や案件の名前を一覧から選べるようにして、表記の揺れを防ぐか
  • 作業の種類を何種類に分けるか(細かすぎると選び間違いが増える)
  • 作業時間の表し方をそろえるか(例:時間と分の書き方が混ざらないようにする)
  • 集計の結果を、誰が、どのくらいの間隔で見るか

書き写しや集計を自動化できるのも、欄と単位がそろってからです。単位がそろわないまま自動化すると、表記の違う同じ現場が別々に数えられるなど、集計の誤りがそのまま広がります。

仮の例。1行の自由記述で書かれた日報と、日付・人・現場・作業の種類・時間の欄に分けた日報を比べ、欄を分けると現場ごとにそのまま集計できることを示した図

5 後工程へ渡す:どの項目を、誰に、いつ届けるか

日報の情報は、請求、原価の管理、翌日の段取りなど、別の担当者の仕事につながっています。後工程ごとに「どの項目を」「誰に」「いつまでに」届ければよいかを一覧にすると、書き写しが残っている場所が見えてきます。

同じ現場名や作業区分を複数の台帳で使う場合は、どの台帳を基準にするか、名前や区分が変わったときに誰がそろえるかを決めます。基準が決まっていないと、電子化したあとも、名前の違う同じ現場を突き合わせる作業が残ります。

届け方には、画面で見てもらう、ファイルで渡す、ほかのシステムと自動でつなぐ、といった方法があります。どの方法が合うかは、渡す頻度や、すぐに必要かどうかで変わります。選び方と費用の考え方は、次の記事で詳しく解説しています。コラムSaaSの二重入力を減らすには?連携・追加開発の判断基準

6 今のツールで足りる場合、足りない場合

日報の電子化は、日報のシステムを新しく作ることだけではありません。ツールを比べる前に、1〜5で書き出した使い道と、入力・確認・集計・後工程の決めごとを手元に置いておくと、「この決めごとを、そのツールで実現できるか」という同じ物差しで比べられます。

次のような場合は、共有の表計算ソフトや入力フォーム、すでに使っている業務のサービスにある日報の機能で足りることがあります。

  • 日報を書く人が少なく、欄の数も少ない
  • 確認する人が1人で、差し戻しが少ない
  • 集計は月に1回程度で、ほかの台帳とのやり取りも少ない

一方、次のような場合は、今のツールの設定の見直しや、一部の仕組みの追加、業務システムの一部として作ることを検討します。

  • 案件や人、車両などの台帳と、日報を結び付けて見たい
  • 現場や作業によって、必要な欄が大きく違う
  • 確認の段階が複数あり、差し戻しや訂正の記録が欠かせない
  • 写真を案件ごとに整理して、あとから探したい
  • ほかの業務システムと、毎日のように情報をやり取りする

すでにサービスを契約しているのに使われていない場合は、機能を足す前に、仕事の流れを整理するところから始めます。担当者ごとのExcel管理が続き、契約したSaaSの利用も進んでいなかった会社では、Ouverが「誰が、何のために管理しているか」を整理したうえで、標準の機能で対応できる業務、仕事の進め方を変えれば対応できる部分、別の方法で補う情報に分けて、運用を設計しました。事例SaaSを導入したのに使われない。廃品回収会社の業務整理・運用設計を支援した事例

7 1つの現場で小さく試して、比べる

いきなり全社で切り替えると、入力しにくい欄や確認の遅れが、一度に表に出ます。まずは1つの現場や1つの班で、期間を区切って試します。

試す前に、今のやり方で次の数字を測っておきます。

  • 1件の日報を書くのにかかる時間
  • 差し戻しになった件数
  • 締めの時刻までに出なかった日報の数
  • 事務の担当者が集計にかけている時間

このうち、事務の担当者がパソコンで行う集計や書き写しの時間は、手で記録をつけなくても、PCの操作ログからおおよそを測る方法もあります。パソコンを使わない現場の作業はログだけでは把握できないため、現場の時間は今のやり方で測ります。コラムOuver DX Insightとは?PC作業の可視化と入力いらずの日報への使い方

試したあとも同じ条件で測り、前と比べます。あわせて、現場の人に「書きにくかった欄」「使わなかった欄」を聞き、直してから対象を広げます。紙と新しい仕組みを並行して使う期間と、紙をやめる日を先に決めておく考え方は、Excelからの移行と同じです。コラム脱Excelの進め方|Excel管理の限界と、やめどきの判断基準

1つの現場で試し、書く時間・差し戻し・未提出・集計の時間を測り、書きにくい欄を直してから対象を広げる4つの段を示した図

日報の流れの整理から、ご相談ください

日報の電子化は、入力の道具を決める前に使い道を決め、入力・確認・集計・後工程をつなぐことが大切です。今のツールで足りるか、何を足せばよいかは、その流れを書き出してみると判断しやすくなります。

Ouverでは、DXコンサルティングとして、現場の社員の方へのヒアリングと業務の見える化から始め、既存のサービスの活用、設定の見直し、小さな自動化、独自のシステム開発の中から、業務と予算に合う方法をご提案しています。「開発しない」という結論になることもあります。作る場合は、一部の機能だけを作って効果を確かめる進め方にも対応しています。

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参考資料

よくある質問

スマートフォンを持っていない人や、入力が苦手な人がいる場合はどうすればよいですか?
会社の端末を現場や事務所に置いて共用にする、選ぶ欄を中心にして書く量を減らす、といった方法があります。試す段階では、最初の数回を誰かが隣で一緒に入力すると、どこでつまずくかが分かります。全員が同じ日から切り替えられない場合は、紙を受け付ける期間と、その間に誰が入力を代わるかを決めておきます。
日報を電子化すると、どれくらい時間が減りますか?
日報の枚数、欄の数、集計や書き写しのやり方によって、会社ごとに大きく違います。そのため、一律の目安はお伝えしにくいものです。1つの現場で試す前と後に、書くのにかかる時間や集計の時間を同じ条件で測ると、自社の場合の効果を確かめられます。
写真付きの日報は、どのように整理すればよいですか?
あとから探せるように、写真を「どの日の、どの現場の、どの作業か」が分かる形で日報に結び付けておきます。撮る場面(作業の前後、不具合の箇所など)と枚数の目安を決めておくと、写真が増えすぎるのを防げます。写真を見られる人、保管する場所と期間は、社内の情報管理のルールに合わせて決めておきます。
何を相談すればよいか決まっていない段階でも、相談できますか?
相談できます。今の日報の用紙やExcel、誰がどこに書き写しているかなど、分かる範囲で今の流れをお聞かせください。そのうえで、今のツールを活かす方法も含めて、進め方を一緒に整理します。

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